ブラックホールの一部がダークエネルギーから構成されていることを導出――ブラックホールの存在が宇宙の膨張に影響

ブラックホールの画像

宇宙は、ビックバンによって誕生し、現在まで膨張し続けているといわれている。

それは、1929年にハッブルが、天の川銀河外の全ての銀河が遠ざかっていることを観測したことで明らかになり、現在では膨張率も精密に測定されている。

一方、理論的には、1922年にフリードマンがアインシュタイン方程式から膨張宇宙解を導出していた。

さらに1998年には、観測から膨張が加速していることが明らかになり、これを説明するため、宇宙には物体に反重力を及ぼすダークエネルギーが満ちているという理論が有力になった。

しかし、ダークエネルギーは、未だ観測されておらず、また宇宙の進化の中でどのように生成したのかなど、そのほとんどが謎に包まれている。

宇宙の膨張モデル導出の誤りを発見

このような背景の中、ハワイ大学マノア校は2019年9月9日、アインシュタイン方程式から宇宙の膨張モデルを導くときの誤りを特定し、修正したと報告した。

その結果、ブラックホールや中性子星などの重力崩壊した星が、スケールの全く異なる宇宙の成長に影響することを確認。また逆に、宇宙の膨張率という宇宙全体の事象が、ブラックホールなどの個々の天体についての情報を提供することを明らかにした。

物理学者は通常、宇宙の成長などの大きなシステムを考えるときには、その中に含まれる小さなシステムの詳細には影響を受けないと仮定する。しかし、ハワイ大学の研究者は今回、白色矮星・中性子星・エキゾチック密度星・ブラックホールといったコンパクト星に対しては、この仮定があてはまらないことを示した。

また、現在測定されている宇宙の膨張率では、特異点があるとされるブラックホールだけではなく、ダークエネルギーから構成される天体(Generic Object of Dark Energy (GEODE))も存在しうることを導出。ブラックホールと認識されている天体の一部がGEODEであるとする可能性を示した。さらに、宇宙に満ちているとされるダークエネルギーが自然に生成されることも導いている。

さらに、研究者らは、今回の結果を、2016年にLIGOとVirgoが重力波を通して観測したブラックホールの衝突に適用。GEODE同士の衝突と仮定したところ、シミュレーション予測の約5倍と観測された一対のブラックホールの質量が、おおよそ観測と一致していることを見出した。

研究者らは、今回の研究から、観測されたものの未だ解明されていない様々な現象は、GEODEの存在を想定することで説明できると予想している。

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